2014年8月26日火曜日

台湾について

17世紀にオランダとスペインが領有し、東アジア貿易の拠点として開発され、労働力として中国本土から漢族が移住して先住民と混血していった。
17世紀後半から19世紀にかけては清が支配。
1894年に日清戦争で敗北し、日本に統治される。

第二次大戦で日本が敗戦すると、台湾を含む中国全土は中華民国の領土となった。
これ以降に中国本土から移住してきて政府や役所の要職に就いた漢族とその子孫は外省人と呼ばれ、日本統治時代からいる漢族とその子孫は本省人と呼ばれ、現在もその区別がある。
1947年、外省人と本省人が衝突する二・二八事件が勃発。

当時の中華民国は、蒋介石を党首とする国民党が支配していたが、まもなく毛沢東を党首とする共産党が台頭し、政権をめぐって内戦となった。
1949年、内戦に勝利した毛沢東率いる共産党が中華人民共和国を樹立。
敗北した蒋介石率いる国民党は台湾に逃げ込み、現在にいたるまで台湾は中華民国のまま継続されている。

中国本土では共産党によって国としての体制が整えられ、1971年に国連は中華人民共和国を中国の正当な国家として承認した。
中華民国はこれに反発して国連を脱退。
日本を含む世界の国々が中華人民共和国と国交を結び、中華民国とは断交した。

政治的には空白地帯となったが、事実上は独立国家として機能しており、経済や民間レベルでの交流は維持され、アメリカが台湾をベトナム戦争における物資調達の拠点とした頃からハイテク産業が発展し、飛躍的に経済成長した。

日本最西端の与那国島との距離はわずか110kmほど。
人口2337万人。
面積は九州と同じぐらいだが、人口はオーストラリアより多い。

漢族98%、先住民2%。
公用語は中国語。

2009年の意識調査によると、
1. 台湾人であり、中国人ではない - 62%
2. 台湾人であり、中国人でもある - 22%
3. 中国人であり、台湾人ではない - 8%

1の意識が増加傾向にあり、特に若者に顕著のようだ。

台湾問題について。

台湾は国か否か?
現在、中華民国を国として承認して国交を結んでいるのは23ヶ国。
この23ヶ国は中華人民共和国を国として承認せずに断交しているが、国際的に影響力の弱い小国ばかり。
日本を含む大半の国は、中華民国を国として承認せず国交を結んでいない。
国際的な認識としては、台湾島は中華人民共和国の一部であるはずだが共産党の支配が及んでおらず、中華民国と自称する者が実効支配している空白地帯。

中華民国が承認されない理由として考えられるのが、
1. 国連を脱退したこと
2. 依然として中国全土が中華民国の領土であると主張していること
3. 独立宣言していないこと

1に関しては、たとえばバチカン市国は国連非加盟国だがれっきとした国として国際的に承認されているし、逆に北朝鮮は国連加盟国だが日本は国として承認していない、などの例外がある。

2に関しては誰もが無理を感じる。
現時点では台湾島の実効支配にとどまっているというだけで、中華民国が主張している領土は、中国全域、モンゴル全域、さらにロシアの一部、タジキスタンの一部、アフガニスタンの一部、日本の一部を含む巨大国家。
承認されるわけがない。
尖閣諸島もそれに含まれているため、親日国の台湾も尖閣問題になると日本と対立する。
中華人民共和国は、台湾は自国領土であると主張している。
つまり、互いに「ひとつの中国」を主張しているため、他国としては一方を承認したらもう一方を否定しなければならない。

2のような妄言はいいかげん破棄して、台湾というひとつの国として独立してしまえばスッキリするのだが、それは中華人民共和国が絶対に許さない。
中華人民共和国としては、軍事上の事情もあり、資源確保の事情もあり、それに台湾の独立を認めてしまったらチベットやウイグルなどでも独立の気運が高まって中国は分裂の危機に陥る。

台湾には4つの立場がある。
1. 中華人民共和国を併合する
2. 中華人民共和国に併合される
3. 独立する
4. 現状維持

1が公式の立場だがあまりに非現実的、2はメリット不明。
3の独立の動きが出た場合、中国と全面戦争にもなりうる。
台湾のバックにはアメリカがいるのだが、大規模な戦争を起こすリスクを負うよりは、特に不便のない現状維持を望む者が多数派のようだ。

1933年のモンテビデオ条約による、国家の要件とは、
1. 永久的住民
2. 明確な領域
3. 政府
4. 外交能力

2を自己主張ではなく実効支配とみなすなら、台湾は疑いなく国家の条件を満たしている。
でもこの条件を満たしていない国、たとえばマルタ騎士団は、領土を持っていないにもかかわらず国際的に承認されており(120ヶ国承認、日本未承認)、国連総会にもオブザーバーとして出席している。

旅行者の僕の基準としては、ボーダーを越える際にパスポートの提示を求められて審査がおこなわれ、独自のパスポートや通貨が発行されているなら、それは国だと思う。
この基準だと、パレスチナ(134ヶ国承認、日本未承認)はまだ国とは思えないし、コソボ(106ヶ国承認、日本承認)はなんとか、マカオ、香港、台湾は文句なしに国だと思う。
でもこの基準だと、ユーロ圏(シェンゲン圏)は国として怪しくなってくるな。

台湾は中華民国として独自のパスポートを発行しており、これで世界を旅行できる。
日本を含む国際社会に承認されていない政府が発行したパスポートでの入国が認められており、そしてそれは国際社会に承認されている中華人民共和国のパスポートなんかよりもずっと強い効力を持っている。
でも、たとえばインドのラダックは、パーミットが必要なエリアが4ヶ所ほどあるのだが、リーさんから聞いた話だと、台湾は中国と同一とみなされるため、台湾人はこのパーミットを取得できないらしい(インドと中国は敵対国)。

知れば知るほど奇妙。

「国」ってなんでしょうね。


Puli, Taiwan

17389km



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