2013年7月30日火曜日

ワガー国境(パキスタン側)





運河はプールです。












パキスタンとインドは、カシミール紛争がもとで長らく対立している。
戦後、インドの中のイスラム圏がパキスタンとして独立したわけだが、北部のカシミール地方は住民の大多数がイスラム教徒だったためパキスタンへの帰属を望んだのに対して、その土地の藩主はヒンズー教徒だったためインドへの帰属を望み、その対立が三度にわたる印パ戦争へ発展した。

現在もカシミール地方は国境が画定しておらず、地図でも点線で描かれている。
カシミールから南下すると、ワガーが初めての通行可能な国境となる。



このワガー国境は日中だけ開いているのだが、毎夕、国境閉鎖式がおこなわれ、イン・パ両サイドで国境の兵士たちが互いの威勢を張り合うパフォーマンスがおこなわれる。
観客も大勢集まり、歌ったり踊ったり叫んだりで、熱狂につつまれる。





入場料10ルピー(9.5円)。





女性席。

男も混じってるな。

席についてまず気づくのが、インド側の熱狂ぶり。
ものすごい人が集まっている。


女性が活き活きとしている。
極度に女性が抑圧されているパキスタンに対してあえて見せつけるかのように、女性が旗を持って走っていたり、踊ったりしている。

しかしパキスタンも負けてはいない。
人数は少ないながらも大声を張り上げる。
激しいエネルギーのぶつけあいに、僕も心が震えた。



熱く盛り上がる中、ゲートの手前でのんびり工事してる人がいるのがシュールだ。




兵士登場。






相手を威嚇するように足を高く上げて行進する。










国旗格納。




ゲート閉鎖。




領土問題は複雑で解決困難。
そして民族の性格がよく出る。
隣国への敵意という負のエネルギーを、パフォーマンスというひとつのフィクションの中で表現することによって、正のエネルギーに転換している、そんな気がする。
具体的な解決策とは別に、こういった形でエネルギーをぶつけあうことも、決して無意味とは思わない。
我々日本人にはなかなかない発想、いい刺激になった。









パキスタンルピー。





Amritsar, India



2 件のコメント:

  1. いやー、パキスタンめっちゃおもろそうですね。
    彼ら絶対気心通じてますやん。

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    1. 敵対と団結。
      血を流す形もあれば、陰湿な冷戦の形もあれば、こういった形もある。
      いろいろ学べます。

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