2010年5月17日月曜日

パレスチナをめぐって 2

BC4年頃にパレスチナで生まれたイエスは、ユダヤ教の一派として活動していたが、他の宗派から反逆者とみなされ、AD30年頃、エルサレム郊外のゴルゴダの丘で十字架にかけられて処刑された。
弟子たちはイエスの復活を信じ、イエスこそがメシアであるとするキリスト教が生まれた。
「キリスト」は「メシア」のギリシャ語形である。
弟子たちによってイエスの教えがまとめられ、ユダヤ教の経典が「旧約聖書」、キリスト教の経典が「新約聖書」となった。
度重なる迫害にもかかわらず、キリスト教は広く普及し、392年にはローマ帝国の国教にまでなった。

570年頃にアラビア半島のメッカ(現在のサウジアラビア)で生まれたムハンマド(マホメット)は、610年に天使ジブリール(ガブリエル)から神の啓示を受け、イスラム教を創始した。
この時の啓示の言葉を記した「コーラン」(クルアーン)が、イスラム教の経典となった。
貴族であり、商人であり、軍人でもあったムハンマドは630年にメッカを征服し、やがてアラビア半島全域を統一した。
アラブの諸部族は彼の支配下に入ってイスラム教徒となり、「アラブ世界=イスラム世界」が形成されていった。

すべてのユダヤ人とアラブ人は、最初の預言者アブラハムの子孫であると考えられている。
つまり、ユダヤ教もキリスト教もイスラム教も、ともにアブラハムという共通のルーツを持つ。
この3つをまとめて「アブラハムの宗教」と呼ぶこともあり、現在の信者の総計は34億人にもなる。
ムハンマド自身、ユダヤ教とキリスト教はイスラム教に先立つアブラハムの宗教であると認め、根本的にはユダヤ教もキリスト教もイスラム教と異ならないものとしていた。



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