2010年5月3日月曜日

イメージ スーダン 2

・中国
スーダンを語るうえで、中国の存在は無視できない。
中国国有石油会社の国外進出はすさまじいものがある。イラン、イラク、スーダンなど、アメリカが「テロ国家」と名指しして国交を断絶したスキを狙って攻め込み、まんまと中国はこれらの国の石油採掘権を獲得してきた。
なかでもスーダンは、欧米の企業が内紛を理由に投資を控えてきたこともあって、中国の一人勝ちのようだ(インドの進出も相当なものらしいが)。数万人もの中国人がスーダンに移住し、大規模な開発が進められている。
中国のおかげでスーダンの経済は急成長しているが、スーダン政府は石油で得た収入で大量の兵器を中国から購入している。ダルフールで使用される兵器のほとんどが中国製である。
中国は、ダルフールへの国連軍の派遣には拒否権を行使し、スーダンへの制裁に関する決議には棄権をしている。紛争が終わってしまったら兵器が売れなくなる、ということだろう。
スティーヴン・スピルバーグは、中国はスーダンへの影響力を行使して平和維持軍の受け入れを促すべきだ、という書簡を胡錦濤に送った。スピルバーグは北京オリンピックの芸術顧問に要請されていたが、中国政府の対応を批判して、これを辞退した。(アメリカこそ世界最大の兵器輸出国なのだが。)
先月、4月20日のニュースによると、中国外務省は、「スーダンの平和プロセスの推進に引き続き積極的で建設的な役割を果たしたい。」と言った。いったい誰がこんな言葉を信じるだろうか?
人命や人権より国益を優先するという意味で、中国とスーダンの思考回路は同じである。それは、チベットやウイグルに対する中国政府の仕打ちを見れば明らかである。

・バシル大統領
1989年にクーデターを起こして権力を掌握して以来、バシルは独裁体制を断行してきた。
2009年、ICC(国際刑事裁判所)は、ダルフールにおける人道に対する罪でバシルに逮捕状を出した。
しかし、バシルはICCなど認めていないと逆に非難し、捕まる心配のないICC非締約国を周遊した。
中国やロシアという強大な後ろ盾があり(ロシアもスーダンを支援している)、アメリカもこれらの国との全面衝突は避けるため、バシルを逮捕できる可能性は低い。
バシルは、捜査に協力したと言いがかりをつけて国際支援団体を追放した。470万人がNGOの支援を受け、難民キャンプでは270万人が生活しているにもかかわらずだ。これも行為としてはジェノサイドに等しい。
そして先月、24年ぶりに大統領選挙が行われ、バシルが再選された。(日本のメディアは「バシル氏」と呼ぶらしい。)
公正な選挙が行われる環境であるはずもなく、明らかな不正、政治弾圧、人権侵害、ボイコットがあったと、国内外の選挙監視団から報告があった。
現在、各地で混乱、衝突が起きている。
ちなみにバシルは、「世界最悪の独裁者ランキング」で2005年から毎年、金正日と1、2位を争っている。
(2009年はジンバブエのムガベが1位に躍り出た。)
またスーダンは、「世界失敗国家ランキング」で2005年から毎年ワースト3にランクインしている。
(ワースト10のうち7国がアフリカ、3国が中東。)

最悪の大統領といえば、4月28日のニュースによると、南アフリカのズマ大統領が過去にレイプ経験があることを公表した。被害の女性はHIV感染者だったが、「すぐにシャワーを浴びたので大丈夫だった。」と堂々と言ってのけた。
アフリカのこのぶっ飛んだ常識の違いを、どう解釈したらいいだろうか?
南アフリカでは、男性の27%がレイプ経験者で、540万人がHIVに感染している(世界第1位)。
HIV感染率の高い国トップ10はすべて、アフリカのサハラ以南にある。



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