2014年9月19日金曜日

東部 2





断崖絶壁、激しいアップダウン、無数のトンネル。



強風。
幸い、追い風。







さすがにこの険しさだと、道幅は狭い。
そして、「道幅が狭くなったとたんに大型車が増える」というこれまた世界共通の不思議な法則がある。
バスとトラックが絶え間なくやってきて、緊張を緩められない。



















標高300m。


300mといったらまったくたいした高さではないが、そこから0mまで下降し、さらにまた200~300m上昇し、それを何度も繰り返す。
40℃を超える暑さ、汗が滝のように流れ続ける。

途中、バイクに乗った若い男が止まり、スマホの翻訳機能を使って英文を見せてくれた。

「Do you need water?」

「No thanks, I have enough water.」

それから、
「Add oil.」

Add oil?
あー、「加油」か。

ありがとう。
そうやって声をかけてくれるだけでも、どれだけパワーが出ることか。



そういえば。
ボルネオで、かつて首狩りをしていたイバン族にお世話になった時、世界の首狩り族について調べてみたら、ボルネオやスマトラに居住するマレー系民族の他、台湾原住民にも首狩りと刺青の風習があった、と書かれていたのが記憶に残っていた。
その台湾原住民は何者かというと、やはり同じマレー系民族。
というとマレー人が北上して台湾に住み着いたかのように思ってしまうが、実は逆で、台湾原住民の方が古く、後に南下して太平洋の島々へと分布していったようだ。

僕は方向が逆だが、はるばるボルネオから9ヶ月かけて台湾までやってきて、今ちょっとした感慨深さに浸っている。
どことなくなんとなく、台湾とボルネオには似た空気があるのだ。
現在の台湾は、原住民はわずか2%で、98%は大陸からやってきた漢族だが、同じ漢族でも、中国人と台湾人とではまるで別もの。
ボルネオにも漢族がたくさんいるが、やはり中国人とは違う。

民族にかかわらず、その土地に根付いた気質ってあると思う。
通りすがりの旅人をつかまえて、何の躊躇もなく家に招いてくれたり、ごちそうしてくれたりする、こういう土地に根付いた気質も、台湾とボルネオでつながっているような気がする。

さらに興味深いことに、太平洋の島々まで南下したマレー人は、海洋を西進してはるかマダガスカルに流れ着いた。
マダガスカルは地理的にはもちろんアフリカだが、そこに住む主な民族はなんとマレー系。
血縁的にも言語的にもアフリカとのつながりは薄く、アジアの文化に類似しているという。
大ざっぱに言ってしまえば、東アフリカで生まれたニグロイドは、北上してヨーロッパでコーカソイドとなり、東進してアジアでモンゴロイドとなり、グルっと回って故郷である東アフリカのすぐそばのマダガスカルまで来てしまったということだ。
いいなーマダガスカル、行ってみたい。

逆に、アジアにもアフリカがある。
マレー半島の西、アンダマン海に浮かぶ北センチネル島は、国としてはインドに属しているが、そこに住んでいる人はアフリカンニグロイド。
しかし、北センチネル島は世界で最も上陸が難しいと言われており、インド政府でさえここの島民との接触を放棄している。
どなたか、行ってみてください。


Taipei, Taiwan

18538km


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