skip to main |
skip to sidebar
スカンジナビア半島の西側に細長くのびる極北の国。僕は南アフリカから出発し、とりあえずヨーロッパ最北端として知られるノールカップ岬を目指すことになるが、厳密にはノールカップは最北端ではないらしい。ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシアにまたがる、スカンジナビア北部の地方はラップランドと呼ばれ、少数民族サーミ人がトナカイとともに生活し、半国家をなしている。西岸は全域がフィヨルドで、氷河の浸食によって複雑に入り組んだ地形がえんえんと続く。「入江、湾、フィヨルド」を意味する「vik」から、「ヴァイキング」(フィヨルドから来た者)という言葉が生まれた。通説では「ヴァイキング」=「海賊」というイメージだが、実際にはスカンジナビアに住む人全体を指し、手工業に秀でた漁民、農民であったという。日本でバイキングといえば食べ放題だが、これはノルウェーの一般的なパーティのスタイルを真似たもの。9~11世紀にはヴァイキング時代として栄えたが、14世紀にはデンマークに併合され、19世紀にはスウェーデンに併合された。独立は1905年。EU加盟は国民投票によって否決され、現在も非加盟国。北海油田の豊富な石油資源により、ノルウェーは世界有数の原油輸出国。漁業、林業、鉱業、IT産業もさかんで、国民一人当たりのGDPは世界2位(1位はルクセンブルク、日本は17位)。首都のオスロは、物価の高さで世界3位(1位は東京、2位はロンドン)。就学率、識字率、平均寿命なども高く、生活の質や発展を示す人間開発指数(HDI)は世界1位(日本は10位)。男女平等の国であり、女性の社会進出度を示すGEMは世界1位(4位まですべて北欧、日本は57位)。国民がEU加盟を望まないのは、自国の産業だけで豊かな経済が維持でき、福祉国家としての高度なシステムも確立されているので加盟する必要がないし、加盟すればスペイン、ポルトガル、ギリシャ、アイルランドなどのEU貧乏国の面倒も見なければならない。人口たった485万人の国で人材的、経済的な流動が起きたら、脅威となるであろう。92%がノルウェー人(ゲルマン系)。サーミ人は2万人ほど。公用語はノルウェー語。アイスランド語に近いらしい。サーミ人はサーミ語。84%がプロテスタントの福音ルーテル派。ノルウェー出身の有名人は、ヘンリック・イプセン(劇作家)、エドヴァルド・グリーグ(作曲家)、エドヴァルド・ムンク(画家)。
古代からフィン人が定住していたことからフィンランドと呼ばれるが、かれらは自分たちをスオミと呼ぶ。人口が少なく、部族のまとまりも強くなかったため、長らくスウェーデン人によって支配され続けた。18世紀からはロシアに支配されたが、1917年に独立。戦後はソ連の勢力下に置かれたが、資本主義体制を維持した。ソ連に頭を下げながらも、西側諸国に傾きすぎないような、微妙な外交で冷戦をやりすごし、ソ連崩壊後は西側について、1994年にEUに加盟した。国土の73%が森林で、先進国では最も高い森林率(日本はそれに次ぐ68%)。主に針葉樹林。国土の10%が湖で、その数は18万におよぶ。「湖」を意味する「スオ」が「スオミ」の語源といわれている。針葉樹林と無数の湖、そしてカリブー(トナカイ)など、自然環境はアラスカやカナダととても似ていると思われる。従来は林業と農業中心の経済であったが、1980年代以降はノキアやLinuxに代表されるIT、ハイテク産業へと変化し、ヨーロッパでも有数の経済大国となり、生活水準は非常に高い。2001~2004年は国際経済競争力が世界1位だった。
フィン人93%、スウェーデン人6%、サーミ人0.1%、ロマ人0.1%。公用語はフィンランド語。ローマ字を使うがヨーロッパ語族ではなくウラル語族(エストニア語、ハンガリー語など)であり、他の北欧の言語とは大きく異なる。オーランド諸島はスウェーデン語。サーミ語は準公用語。プロテスタント89%。
北欧はなにかと優等生なイメージがある。8月26日のニュースによると、アメリカのNewsweekが、世界100ヶ国の生活、健康、教育、経済などに対する幸福度を総合的に評価して格付けする「ベスト国家ランキング」を発表した。1位 フィンランド2位 スイス3位 スウェーデン4位 オーストラリア5位 ルクセンブルク6位 ノルウェー7位 カナダ8位 オランダ9位 日本10位 デンマークもちろん、こういったランキングは基準が曖昧だし、さまざまなバイアスがかかっているだろうから真に受けるべきではないが、北欧三国+デンマークがもれなくランクインしているのはそれなりの理由があると思われる。それにしても、寒そうな国ばかりで熱帯の国が見当たらないのはなぜだろう?南半球はオーストラリアのみ。日本がランクインしているのを意外に思う人は多いだろう。ちなみにアメリカは11位。中国は59位。フィンランドの教育水準は世界一といわれ、「教育先進国」として注目されている。授業時間は日本より少なく、塾も予備校もなく、受験戦争もさほど厳しくはないという。にもかかわらず、国際学力テストのPISAで、フィンランドは毎回総合で世界1位の成績をおさめている。主な特徴は、・カリキュラムや教科書検定などは国が細かくコントロールするのではなく、現場の教師に任せていること。・現場の教師が有能なプロであること。・生徒に競争させるのではなく達成を目標とすること。・落ちこぼれを出さないこと。少人数制で補習を充実。「教育という名のボートに乗った子は一人たりとも落とさない。」・日本は教育費の私的負担が非常に高いが、フィンランドは教育費の97%が公的負担でまかなわれる。フィンランドに限らず、北欧諸国は「平等」の意識が高く、誰もが平等に公正なサービスを受けられる制度が整っており、福祉国家として名高い。女性の社会進出度、報道の自由度、汚職の少なさなどでも、北欧諸国が世界の上位を占めている。現在のフィンランドは大統領も首相も女性である。単に優秀というだけでなく、システムに理念を感じさせるところを、日本も学ぶべきだ。
その他、フィンランドは、・図書館利用率世界1位。・環境持続可能性指数世界1位。・1人あたりのコーヒー消費量世界1位。・1人あたりの牛乳消費量世界1位。・サウナ普及度世界1位。(「サウナ」はフィンランド語)奇妙な大会が多いことでも有名。・エア・ギター世界選手権・サウナ世界選手権(先月死亡者が出た)・携帯電話投げ世界選手権(携帯電話のシェア世界1位のノキアはフィンランドのメーカー)・国際雪合戦・奥様運び大会
エストニア、ラトビア、リトアニアは「バルト三国」としてひとくくりにされるが、それぞれ独自の民族、言語、歴史を持つ。第2次大戦中の1940年にソ連に併合されたが、1989年の東欧革命では、200万人が手をつなぎ、600km以上におよぶ「人間の鎖」で三国を結び、ソ連からの独立を世界に訴えた。1990年にはリトアニア、ラトビアが、1991年にはエストニアが独立し、2004年には三国同時にEU加盟を果たした。・リトアニアリトアニア人83%、ポーランド人6%、ロシア人5%。公用語はリトアニア語。大半がカトリック。・ラトビアラトビア人59%、ロシア人28%。公用語はラトビア語。東部はカトリック、北部、西部はプロテスタント。・エストニアエストニア人68%、ロシア人25%。公用語はエストニア語。大半がプロテスタント。
6世紀までにポーランド人の祖となるスラブ人がこの地に定住し、966年にポーランドは国家として成立した。14~16世紀にはヨーロッパの大国として繁栄したが、やがて衰退し、18世紀後半にはロシア、プロシア、オーストリアによって分割された。1830年、ロシアからの独立を目指して「十一月蜂起」が起こり、翌年鎮圧された。ショパンはこの事件の知らせを聞いて、「革命」を作曲したといわれている。
第1次世界大戦が終結した1918年、ドイツとソ連から領土が割譲され、ポーランドは国家として再生した。第2次世界大戦が勃発した1939年、ナチス・ドイツとソ連に侵攻され、再び分割。ナチスによるホロコーストの象徴といえるアウシュビッツ強制収容所はポーランドにある。ヨーロッパ各地から、ユダヤ人、ロマ人、政治犯、障害者などが送り込まれ、ピーク時の1943年には14万人が収容され、過重労働、人体実験、ガス室での大量虐殺などが行われた。1979年、「負の遺産」として世界遺産に登録された。大戦後にポーランドは再度復活したが、ソ連の衛星国となり、社会主義国となって共産圏に組み込まれた。1989年、東欧革命で初の民主化。2004年、EU加盟。
97%がポーランド人。公用語はポーランド語。キリル文字ではなくローマ字を用いる。95%がカトリック。・ポーランド出身の有名人ニコラウス・コペルニクス(天文学者、地動説)キュリー夫人(化学者、ラジウムとポロニウムを発見)フレデリック・ショパン(作曲家、ピアニスト)イグナツィ・パデレフスキ(ピアニスト、第3代首相)ルドヴィコ・ザメンホフ(言語学者、エスペラント語の創始者)
今までは週休1日だったが、これからあと1年は、仕事を増やして月休1日でやっていく。そこまでしなくても、旅の資金は目標額に達するのだが、なぜか住民税と国保が毎年数万単位で跳ね上がっていき、とても払えない額になってしまった。所得税も、数年前と比べたらずいぶん上がった。収入は増えてないのに。どう節約しても払いきれないので、仕事を増やすしかない。
一生こんな生活を続けるのは絶対ごめんだが、あと1年の辛抱、と思えばできる。世の中、まったく休まずに働き続ける人もいるし、信じられないほどの高額納税者もいる。そういう人と比べたら、これくらいはたいしたことないはずだ。旅に出てしまったら、もう住民税も国保も払えない。払わずに放置し続けると、財産差し押さえで預金を下ろせなくなるらしい。海外で預金が下ろせなくなったらやばい。どうしよう?他の長期旅行者たちはちゃんと払っているのだろうか?とりあえず今は、仕事があるだけありがたいと思うべきだろう。次の旅から帰ってきたら、仕事ないかもしれない。なんでもいい。とにかくあと1年の辛抱。
第1次世界大戦で敗戦したドイツは、徹底的に痛めつけられ、経済も崩壊状態となった。そんな中で台頭したナチス党は、党首ヒトラーの巧みな戦略によって国民に支持され、1933年に政権を握った。ナチスは、国粋主義のもとにユダヤ人を排斥し、言論、出版、教育を統制するなど、独裁体制を進めた。反対派やユダヤ人は強制収容所に送られた。ナチスに殺されたユダヤ人は600万人といわれている。また、アウトバーン建設などの大規模な土木工事や軍需工業をおこして、失業者を急速に減らした。
1938年にナチス・ドイツはオーストリアを併合し、さらに領土を拡大すべく、1939年にポーランドに侵攻した。これに対してイギリスとフランスがドイツに宣戦し、第2次世界大戦が勃発。1945年、またしてもドイツは敗戦し、領土の25%を失い、戦勝国の米英仏ソによって東ドイツと西ドイツに分裂した。分裂後まもなく、「東(ソ連などの社会主義陣営)vs西(米英仏の資本主義陣営)」の冷戦時代へ突入。1960年代には、貧しい東ベルリンから豊かな西ベルリンに逃げこむ者が増えた。これを防ぐためにソ連が建設したのがベルリンの壁。1980年代の終わりに東欧の共産国が次々に破綻して民主化したことが影響し、経済的困窮が続く東ドイツでも統一の動きが高まり、1989年にはベルリンの壁が崩壊し、翌1990年にドイツは再び統一された。現在のドイツは、世界トップの工業製品輸出国(2008年に輸出額で中国に抜かれた)で優れた技術を誇り、GDPは世界4位(ヨーロッパで1位)の経済大国である。フランスとともにEUの中核国であるが、一方で、長期間の分裂による東西の格差がいまだ残り、成長の妨げとなっている。
ドイツ人は旅行好きで有名で、海外旅行者数は世界1位。年間で延べ7000万人以上が海外旅行をする(ドイツの人口は8175万人)。日本人の海外旅行者数は1700万人ほどで、トップ10にも入っていない。公用語はドイツ語。宗教はキリスト教68%(プロテスタント32%、カトリック31%)、イスラム教4%、ユダヤ教0.25%。・ドイツ出身の音楽家ヘンデル、バッハ、ベートーヴェン、メンデルスゾーン、シューマン、ワーグナー、ブラームス、フルトヴェングラー・ドイツ出身の学者ケプラー(天文学者)、カント(哲学者)、ゲーテ(作家)、ヘーゲル(哲学者)、ガウス(数学者)、マルクス(経済学者)、ニーチェ(哲学者)、アインシュタイン(物理学者)
ゲルマン人というのは、古代ローマ帝国の側から見たゲルマニア地方に住む諸民族の総称で、ゲルマン人という民族がいるわけではないらしいが、やはり「ドイツ人=ゲルマン人」というイメージが強くある。4~5世紀、アジアから来たフン族に押されてゲルマン人がローマ帝国に進入、同化していった。これが有名な「ゲルマン民族の大移動」。フン族の侵攻を食い止めたのは、ローマ帝国で傭兵となったゲルマン人であり、ヨーロッパ世界の成立にとって重要な役割を果たした。この大移動のすぐ後に西ローマ帝国が滅亡し、ゲルマン人による王国が築かれ、フランク王国が統一した。フランク王国において、ラテン語ではなくゲルマン語系を話す人一般に対する「Deutsch」(民衆、大衆)という呼称が、後の国名の由来となった。9世紀、カール大帝の死後にフランク王国は、東フランク王国、西フランク王国、中フランク王国に分割され、それぞれドイツ、フランス、イタリアの原型となった。神聖ローマ帝国、プロイセン王国を経て、1871年、ドイツ帝国が成立した。

分割後のフランク王国
1630年の神聖ローマ帝国
プロイセン王国