2011年1月21日金曜日

イメージ チベット

ヒマラヤの北には、世界最大級の高原、チベット高原が広がる。
平均標高は4500m、面積は日本の6倍、中国の国土の26%を占める(チベット自治区はこの半分ほどの領土)。
ヤク、チベットガゼル、チベットレイヨウ、冬虫夏草をはじめとする希少な動植物が生息する。
最大最強の犬といわれるチベタン・マスティフは体高80cm、体重100kg、ライオンのようなたてがみがある。→参照
あのチンギス・ハーンも、ヨーロッパ遠征時に3万匹のチベタン・マスティフを連れて行ったという。
自転車をこいでいる時にこんなのが追いかけてきたら死ぬ。

ヒマラヤは長らく人の移動を断絶してきたため、チベットの民族、言語、文化などはインド文化圏とは明確に異なる。
独自の文化が育まれたチベットは、古来から独立国であったが、1720年には清に、1904年にはイギリスに侵入されるなど、国としての危機に瀕した。
1949年に中華人民共和国が成立すると、中国共産党は「チベット人民を解放する」との名目で人民解放軍を派遣し、武力によってチベットを保護地域とした。
その後、協定に反して社会主義が強行されたため、反共産党、反漢族感情が高まり、武装蜂起が頻発した。
1959年、大規模な反政府運動「チベット動乱」が発生したが、人民解放軍によって数万人のチベット人が殺害され、数千の寺院が破壊された。
指導者であったダライ・ラマ14世はインドに亡命した。
1966年から約10年続いた文化大革命、1989年のデモ、2008年の北京オリンピックの暴動などにおいても、中国はあくまで徹底的に弾圧し、多くの犠牲者が出た。

中国は民族の弱体化を狙い、チベットに大量の漢族を移住させ、現在は漢族の人口の方が上回ってしまっている。
2006年に開通した世界最高地の鉄道、青蔵鉄道(最高標高5072m、平均標高4500m)も、支配強化が目的だといわれている。
また、チベット高原は核兵器の格納および核廃棄の場となっている。

ダライ・ラマは現在も亡命中だが、その影響力はいまだ絶大である。
チベットの人々にとって、ダライ・ラマは精神的な支柱となっているが、チベットでは彼の写真や関連図書を所持することさえ禁じられている。
共産党による報道規制、ネット検閲は厳しく、「ダライ・ラマ」もNGワードのひとつとなっている。
多くの中国人は、チベットは中国の一部であり、中国に保護されていると信じている。

ダライ・ラマの帰国は許されていないが、仮に帰国できたとしてもすでに独立は諦めており、「高度な自治」を要求する立場をとっている。
彼の非暴力による世界平和の訴えやチベット文化の普及に対する貢献は高く評価され、1989年にノーベル平和賞を受賞した。

言語はチベット語。「エベレスト」はチベットでは「チョモランマ」と呼ばれる。文字はこんな感じ→ཇོ་མོ་གླང་མ
宗教は仏教。ラマと呼ばれる高僧を尊崇することから、かつてはラマ教と呼ばれたが、仏教とは異質なものととられることもあり、不適切な呼称として現在は使用されない。

  

チベット自治区の位置



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