2012年2月22日水曜日

イスラエル入国

難関と思われていたイスラエル入国だが、いともあっさりとクリアできてしまい、肩すかしをくらった感じだ。

今まで出会った旅人からの情報でも、ネットの情報でも、自転車でイスラエルを旅行したという例が全然出てこなかった。

バックパッカーらしき人たちのイスラエル入国体験談は、検索するとけっこう出てくる。
それによると、係員が高圧的な態度で質問攻めしてきて、厳重な荷物チェックがあって、ちょっとでも不審な点があったり、あるいは敵対しているイスラム国への渡航歴があったりすると、何時間も待たされ、執拗な尋問を受ける、らしい。
あるフランス人サイクリストは、自転車をバラして部品の中までチェックされたとか、ある日本人サイクリストは、入国拒否されてパスポートに「REFUSED」とスタンプされたとか。

そんな話ばかりなので不安にならずにいられなかったが、とにかく行ってみるしかない。
なるようにしかならないだろう。
もし入国拒否されたら、アンマンから飛行機でどこか適当な国に飛べばいいし、「REFUSED」なんてスタンプされたら、それはそれで貴重な記念となるだろう。

いざ出発。

死海の北側にあるキング・フセイン橋で国境越えする。
徒歩での通行は認められておらず、専用のバスに乗せられる、というのは知っていたが、自転車はダメだとはどこにも書かれていなかったので、「自転車で通ってもいい?」とヨルダン側の係員に聞いたら、
「おまえ、イスラエルのアーミーに撃ち殺されるぞ。」
と言われた。

なので、このちっこい専用バスに無理矢理自転車を積んだ。


荷物代は荷物の個数によって決まるらしく、そのまま積めれば1ディナール(112円)ですんだかもしれないが、僕はバックをすべてはずし、さらにタイヤまではずしたので、13ディナール(1465円)もとられた。
あこぎな商売をしやがる。

出国税8ディナール(902円)とられた。
せっかく入国時のビザが無料なのに、結局出国時に金とられるのか。

イスラエルもビザなしだが、出国税をいくらかとられるらしい。

キング・フセイン橋も、日本がつくったようだ。
車窓から、「JAPAN」と書かれた標識が一瞬見えた。

いよいよ、イスラエル側のイミグレーションに到着。

しかし、館内に緊迫した空気はない。
男性係員も、女性係員も、愛想良く僕にあいさつし、礼儀正しく対応してくれた。

荷物は、バッグをひとつひとつベルトコンベアに乗せて機械に通すだけ。
バッグの中には、調理用ナイフやガスコンロなどの危険物も入っていたが、何も言われなかった。

質問も、若干細かいことに突っ込んでくる感じがあったが、いたって紳士的で、尋問というほどのものでもなかった。

待合室で待つように指示された。
僕は敵対国であるスーダンに渡航歴があるので、それが引っかかったのだろう。
こうなると、軽く3、4時間は待たされるという話なので、気長に待つことにしよう。

と思っていたら、ものの10分で名前が呼ばれ、パスポートが返却された。
これでフィニッシュ。
なんとあっけない。

イスラエルは、今までやりすぎた。
近年は、西側諸国もパレスチナ寄りになってきて、イスラエルは劣勢の感がある。
アメリカがイスラエルを見捨てることはないと思うが、これ以上敵を増やすのはまずい。
これからはちょっと温厚にいこう、と作戦変更したのかもしれない。

あと、これは有名な話なので御存知の方も多いと思うが、イスラエル
渡航歴のある人は、敵対しているイスラム国への入国を拒否される。
敵対するのは勝手だが、旅行者は何の関係もないのでとばっちりだと思うのだが、それだけイスラエルは憎まれているということだろう。
僕は、この先イランに行く予定がある。
そういう場合は、パスポートにスタンプせず、別紙にスタンプしてもらい、
痕跡を残さずに入国することができる。
イスラエル入国時だけでなく、ヨルダン出国時も別紙にスタンプしてもらう。

でも、直前になって、よく考えてみた。
この別紙スタンプ作戦は、たとえばヨルダンからイスラエルに入国して、再びヨルダンに戻ってくる場合にのみ、有効となる。
僕はヨルダンには戻らず、フェリーで地中海を渡ってキプロスに行く。
(最初の計画では、ヨルダン→シリア→トルコと陸路でヨーロッパに向かうつもりだったが、今はシリアが通れないので、予定変更してイスラエルを突っ切ることにしたのだ。)
となると、たとえパスポートにスタンプされなくても、ヨルダンの出国スタンプがないこと、それからキプロスの前にいた国の形跡がないこと、からイスラエルに行ったことが推察されてしまう。

イランがそこまで入念にチェックするかどうかはわからないが、この作戦は完璧ではない。
そう考えているうちに、もう別紙スタンプなんてしゃらくさくなってきた。
なので結局、僕は普通にパスポートにスタンプしてもらった。
これで、イラン行きが完全に不可能になった。
まだ先の話なので、別のルートを考える。

とりあえず、無事イスラエルに入国できた。



この写真を撮って、数km進んだら、検問で止められた。
「さっき写真を撮っただろ。カメラをチェックさせてくれ。」
・・・監視カメラで見られてた。
やはりこの国は、普通じゃない。

世界一低いところにある街、エリコ(海抜-250m)。


国境からエルサレムまでは、イスラエル領パレスチナ自治区(ヨルダン川西岸地区)。
そう、ここはパレスチナ。
この言葉の響きだけで、いろいろなものをイメージさせられる。



パレスチナには、国旗がある。
ヨルダンの国旗と似ているが、少し違う。

イスラエルの公用語は、ヘブライ語とアラビア語。
ヘブライ語はユダヤ人の言語で、BC1世紀にユダヤ人がパレスチナの地を追われて世界各地に離散して以来、話者が減って絶滅しかけたが、20世紀になって復活した。
パレスチナは、やはりアラブ人が多く、相変わらずアラビア語が聞こえ、モスクからはアザーンが聞こえる。
英語の通用度は上がったが、見るからに生粋のアラブ人はやはり英語がまったく話せない。




メシはやっぱりサンドイッチ。






スイーツ屋さん。




物価がまた跳ね上がった。
エリコには、安宿が1軒しかなかったのだが、なんと150シェケル(3207円)。
部屋はベッドがあるだけで他のサービスはまったくなく、トイレシャワーは共同。
つくりはエジプトやヨルダンと同様で、ボロボロ。
しかも、値引きしてもらってこの料金。
エジプトだったら10分の1の料金だろう。

欧米のように、ハイクオリティでハイプライスならわかるが、ロークオリティでハイプライス、というのはどうにも納得いかない。
ジンバブエやモザンビークもそうだった。



また死海へ。








おそらく、公認のビーチ以外は、岸に下りることは許されていない。
ビーチの入場料47シェケル(1004円)とられた。
あこぎな商売をしやがる。
寒いのでとても泳ぐ気にはなれなかった。

エルサレムへ。







エジプトもヨルダンもそうだったが、道路だけは立派だ。
広くて走りやすい。


Jerusalem, Israelにて




2 件のコメント:

  1. 泳いでくれ。そして浮いてる姿をupしてくれ(;´Д`A

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    1. ごめん、無理。
      寒さを我慢して泳いだとしても、ひとりなので写真は撮れない。
      聞いた話だと、沈むことができないぐらい、不自然に浮くらしいね。
      あと、水というよりオイルのようにヌルヌルで、すぐシャワー浴びないとダメだって。

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