新年早々、面倒で気分が重くなる話題。
今日の記事は、スーダンを旅行する予定がある人のための情報公開なので、必要ない人は飛ばしてください。
スーダンを旅行するには、きわめてやっかいな手続きが必要になる。
今、その理解に苦しむ制度のせいで数々の問題を突きつけられている。
結論から言えば、完全自転車走破はできず、所々でバスを使わざるをえない。
1. 2週間じゃ足りない
僕のビザの滞在許可は2週間だが、ハルツームからエジプト国境までの距離を計算してみたら、1300kmもあった。
何の障害もなく、連泊もせず、1日100kmずつ進めば可能だが、そうはいかない。
しかし、後述するが、ビザ延長はできなかった。
2. 意味不明な登録
外国人旅行者は、入国後3日以内にAliens Registration Officeというイミグレーションのような役所に行き、謎の登録手続きをしなければならない。
僕が入国したのは金曜の夜で、土日はそのオフィスは閉まっているので、この時点で僕は違反してしまっていることになるが。
このAliens Registration Officeは最近引越してしまったのか、ガイドブックの地図に書いてある場所に行っても、それらしきものはなかった。
地元の人や警察に聞いても誰ひとりとして知らない、または英語話せない。
地元の人も警察も知らないようなところにどうやって行けというのか?
たまたま知り合ったスペイン人旅行者に教えてもらい、ようやくみつけた。
大きな地図で見る
なんとなく嫌な予感はしていたが、この役所、わけがわからない。
来訪者をわかりやすく誘導してあげようという気配がかけらも感じられない。
どの窓口に行けばいいのか、英語を話せる人をみつけて案内してもらう。
しかし、その窓口には誰もおらず、しばらく待つ。
ようやく係員が現れる。
「この用紙に記入しろ。」
記入して窓口に行くが、またしても誰もいないので、待つ。
ようやく現れ、用紙を提出する。
「ここじゃない。あっちの窓口へ行け。」
指をさした窓口には、たくさんの人が群がっている。
当然ここの人たちも、並んで順番を待つなどということはしないので、強引に前に出て行かないといつまでたっても提出できない。
ようやく提出すると、
「パスポートのコピーを持って来い。」
コピーセンターのようなところへ行き、コピーしてまた人ごみをかきわけて提出する。
「となりの窓口で金を払え。」
10ポンド払って収入印紙を貼り、また人ごみをかきわけて提出する。
「宿泊先のレター(推薦状)をもらって来い。」
ここからキャンプ場までの距離は9km。
キャンプ場に戻ったが、ここのマネージャーは神出鬼没で、どこにいるかわからない。
僕は宿泊費さえまだまともに払えていない。
門番に電話してもらい、マネージャーを呼び、2時間ほど待ってレターとやらをもらって、再び9km走ってオフィスへ行く。
さすがにこれでOKだろう、としばらく待たされる。
僕の申請用紙とパスポートは奥の部屋に持って行かれた。
奥の部屋では、係員が僕のパスポートをペラペラめくったりしながら、のんきにおしゃべりしているのが見える。
30分ほどたった。
「明日また来い。」
「なんで?」
「今日はもう閉館だ。」
翌日、9km走って朝一番でオフィスへ行く。
提出すると、
「となりの窓口へ行け。」
となりの窓口へ行くと、
「100ポンド払え。」
昨日の10ポンドはなんだったのか?
30分ほど待たされ、ようやく名前が呼ばれ、パスポートが返された。
次はどうすればいい?という顔をして身構える僕に、係員が面倒くさそうに言った。
「フィニッシュ!」
パスポートには、「REGISTRATION なんたらかんたら」と書かれたシールが貼られていた。
これで登録完了。
この登録をしないと、この先の街で宿泊できない。
つまり、宿では必ずパスポートの提示が求められ、このシールが貼られていないと泊めてもらえないのだ。
仮に、全日程野宿したとしても、出国の際になにやらやっかいなことになるらしい。
登録に必要な物 :
パスポート
パスポートのコピー(建物内にコピー機あり)
写真1枚
宿泊先のレター
110ポンド
以上のことは、入国の際にはなんの説明もない。
僕は、たまたまガイドブックやネットや出会った旅行者から聞いて知った。
3. ビザ延長
登録をすませて、次にビザ延長申請する。
すでにビザ延長のレターもマネージャーからもらっていた。
また人ごみをかき分けて提出する。
「このレターを書いた者のIDのコピーを持って来い。」
また9km走ってキャンプ場に戻り、マネージャーからIDをもらう。
9km走ってオフィスに行き、人ごみをかきわけて提出。
係員は僕のパスポートと書類をまじまじとみつめた。
次はなんだ? 金か? なんでも持って来てやるぞ。
「今は延長できない。2週間たってから来い。」
2週間たってしまったらその時点でオーバーステイになってしまうんじゃ?
とにかくできないらしい。
おそらくハルツーム以外の街では申請できないだろう。
4. 旅行許可
さらに別の役所で、旅行許可と撮影許可を取らなければならないらしい。
僕はすでにスーダン旅行をしているし、撮影もしまくっているが。
しかし、lonely planetには「ハルツームより北部ではこの許可は必要ない」と書かれている。
僕はlonely planetを信じ、この許可は取らないつもりだ。
もう申請は疲れたし、時間もない。
やってられない。
5. フェリー
スーダンからエジプトへの国境越えの手段は、フェリーのみ。
一応道路はあるが、貨物車専用道路。
このフェリーは週に1便、水曜日にしか出ない。
なので、2週間まるまる滞在できるわけではなく、このフェリーにうまくタイミングを合わせなければならない。
もし逃してしまったら1週間待ち、オーバーステイになる。
6. ガスカートリッジがない
キャンプ用ガスコンロのカートリッジは飛行機に積めないので、ウガンダで廃棄した。
ハルツームでカートリッジを探したのだが、ない。
今までの国では、首都に行けばgameというホームセンターでカートリッジが売っていたが、ここはもう今までとは店の種類も違うし、置いてある品の種類も違う。
スーダン人は、とてもアウトドアをやるようには見えない。
白人旅行者も、スーダンには山があるわけでも国立公園があるわけでもないので、車で通過するだけなのだろう。
地図を見ると、ナイル川沿いには小さな街があるようだが、ナイル川からそれると300km近い無人地帯もある。
はたしてガスなしでやっていけるのか?
そして道路は舗装されているのか?
これらの問題は、ビザ延長さえできればなんとかクリアできるだろうと思っていたのだが、そのビザ延長がくじかれた。
明日出発したとしても、もうあと1週間しかない。
1日200km進めば可能だが、僕はそんな超人ではない。
とりあえず、これからバスを探す。
スーダン自転車走行、楽しみにしていたのに、残念。
Khartoum, Sudanにて