2013年10月15日火曜日

マナリ・レー・ロード 4

山を下るにつれて、ラダック人は減り、インド人が増えていく。

地図に載ってなくても村が点在し、立派な宿もある。


キャンプ場だってある。

しかし開放的すぎるだろ。
自分の出したモノが背後の穴に放出される仕組みになっている。

エリア的にはここはまだラダックだが、もう終わってしまったな。
さびしいな。

標高は下がったが山はまだ険しく、相変わらずひどい未舗装。
そこらじゅうで道路工事をしている。
「ご苦労様です」と言いたいところだが、いつ見ても、作業しているのはごく一部の人で、大半の人は微動だにせず、座り込んでいるか突っ立っているかだ。
こんなんでよく仕事が成立するな。
これじゃ、12億人集結させても、まともに道路一本完成させることもできないな。
人数の問題ではなかった。

道路は狭いままだが、確実に交通量が増えてきた。

クラクション、排気ガス、砂埃。
クラクション、排気ガス、砂埃。
クラクション、排気ガス、砂埃。

どれだけ生身の人間を痛めつければ気がすむのか。
野蛮人ドライバーどもめ。

インドの歩行者や自転車はまったく反撃しないのだろうか、僕はあまりに腹立った時は思わず怒鳴ってしまうのだが、するとドライバーは驚いて黙りこんでしまう。
車を運転する者はそんなに偉いのか、自転車が反撃するなんて思いもよらないらしい。
相手が誰であれ、どんな状況であれ、 クラクションを鳴らしさえすれば言うことを聞くものだと思っているのか。

これから山を下れば未舗装は少なくなるはずだが、クラクションと排気ガスは増大する一方だろう。
憂鬱。

山を下るといっても、道はそう単純ではない。
激しいアップダウンもあれば、峠越えだってある。
ラダック最後の峠越えに向けて、再び登り始める。

ふと気づくと、またなんかついてきてる。








言うまでもなく、この登りと悪路では、僕はイヌよりはるかに遅い。
勝手についてきておいて、「まだ~?」って感じで退屈そうな顔をしたり、寄り道したりしながらついてくる。











僕は彼女を「チャパティ」と名付けた。
「チャパティ!」と呼ぶとちゃんと反応する。



僕が手を差し出すとチャパティは自分の頭を差し出し、なでてやると気持よさそうな表情をする。
ビスケットをやると食べる。













こんなところで座ってチャイとオムレツをつくって商売しているおばちゃん、つえー。


ヤク、でけー。


ロータン峠(標高3980m)。


「一緒に記念写真を撮ろう」と言ったら、「やなこった」とどこかへ行ってしまった。
「いいよ、じゃあもう知らね」と先に出発したら、しばらくしてすごい勢いで追いかけてきた。











下りは僕の方が速い。
カーブだらけなのでチャパティは要所要所でショートカットしながらついてくる。











村の宿で1泊。
行儀良く外で待ってな。


翌朝、出発しようとしたら、チャパティが駆け寄ってきて、「どうしてひとりにしたのよっ!?」って感じでクンクン鳴いた。









今日のチャパティはやけに遅いなと思ったら、足を切って、血が出ていた。

人間でいったら、もうけっこうおばさんなのかもしれない。
弱りかけのようにも見える。



峠を下ると、もうラダック色はなくなり、すっかりインド一色。
誰も「ジュレー」なんて言わない。

村のレストランに入ったら、チャパティも一緒に入ってきたので、店の人がチャパティを追い払った。
ラダックのインディアンフードとは違い、以前食べた正当なインディアンフードで、少々辛かったがおいしかった。
ラダックだけだったら、僕はインディアンフードを全否定するところだった。

あたりを見回してもチャパティは見えなかったが、自転車を動かしたとたん、どこからともなくチャパティが走ってこっちにやってきた。
店の人がチャパティに石を投げようとしたので、「いいんだ、いいんだよ」とやめさせた。

村を通るたびに、チャパティは地元犬から攻撃されていた。
インドのイヌはおとなしく、あまり吠えたりしないが、いきなりニューフェイスが現れたりしたら、さすがに興奮しだす。
チャパティは時に反撃し、時に僕に寄りそって無視を決めこむ。

とうとうマナリまで来てしまった。
マナリの街も野良犬だらけで、攻撃されまくっていたが、無事に宿にチェックイン。



どうしよ、こいつ?


Manali, India



2 件のコメント:

  1. 旅は道連れ・・・って長すぎるよな・・・
    いつかは離れるのだろうけど、表情に哀愁を感じるな。

    実家においてきてしまった犬を思い出したよ。

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    1. 自転車旅行者的には、飼い犬より野良犬の方がかわいい。
      あんな表情されたら放っておけなくなる。

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