2012年12月23日日曜日

走行断念

宿のおばさんたちに暖かく見送られながら出発したが、依然として外は冷凍庫よりも寒く、体を突き刺すような向かい風、そして悪路。





顔が痛い。

せっかく解凍した水がみるみる凍っていく。

通る車はだいたい大型トラックで、乗用車は少ない。
時々、大型トラックがわざわざ止まって「何やってるんだ?」といった感じで話しかけてくれる。
まあ、客観的に見てこんなところで自転車をこいでいるのは異常だとは思う。

路面凍結。


こけてしまった。
給水タンクのキャップが折れた。
どうせ中身は氷だから、このタンクはもう不要。
方位磁針付きベルも折れた。

これはいかん・・・。


走行不能。
自転車から降りて押して歩いても、ツルツル滑ってまともに進めない。

次の街までまだ200kmある。
ここが限界、と認めざるをえない。
助けを求めよう。
根性なしですみません。

しかし、ただでさえ車の通行が少ないのだが、どういうわけかほとんどの車が逆方向。
どうしようかと途方に暮れていたら、逆方向から来たトヨタの4WDが僕の近くまで来て止まった。

「乗っていくか?」

「お願いします。」

逆方向だが、今の僕は完全にSOSな状態なので、選ぶ余裕などなかった。
またしても、シェトペに戻る。

悪路なのでスピードは出ないが、さすが4WD、あまり激しい振動は感じなかった。

14時頃、シェトペに到着した。
ここからベイニョーという街まで列車で行った。



23時、ベイニョーに到着。
運良く駅前に小さなホテルがあった。
ドミトリーで4500テンゲ(2521円)。
だから、高すぎだって!
欧米のホステルより高いにもかかわらず、トイレはバケツに水を汲んで自分で流す方式。
まったく、物価だけがいっちょまえに上昇して、生活レベルがまったく追いついていない。

シャワーを浴びようとしたら、シャンプーが凍っていた。

翌日、ウズベキスタン行きの列車のチケットを買おうとしたのだが、わけがわからない。
僕はロシア語旅行会話集を参考にしながら、自分の要望を紙に書いてチケット売り場のおばさんに渡す。
これは通じたのだが、なぜか否定の返事をされた。
なぜチケットを買えないのか?
明日は列車がないのか、あるけど満席なのか、それともチケットは当日じゃないと買えないのか。
おばさんは紙に何か書いて僕に渡したが、何が書いてあるのか解読不能。
せめて筆記体はやめてくれ。
英語を話せる人がまったくいないので、どうしたものか。

ホテルの従業員にも相談してみたが、やはり彼女たちも英語がまったく話せない。
そこで、面倒見の良いおばさんが、わざわざ一緒にチケット売り場まで付き添ってくれて、列車はあさって、チケットを買うのは明日、ということがわかった。
ホテルに戻ってからも、従業員の女性たち一同、懸命に僕に説明してくれて、翌日、ようやく無事チケットを買うことができた。

気づくと、僕はロシア語で会話していた。
もちろん文章は言えないが、ボキャブラリーが一気に増えて、単語を並べるだけでもけっこう会話が成立するものだ。

自転車走行を断念したのは悔しいけど、こうやって、たかがチケット1枚買うのに悪戦苦闘して、たくさんの人と接していると、「旅してる感」はすごくある。

ベイニョーは、この辺りではそこそこの街だが、ネットカフェもなく、大きなスーパーもなく、ヒマをもてあました。
市場はあったが、あまりにも寒すぎて買い物を楽しむ余裕などなかった。
街の写真も、あまりにも寒すぎて撮る気になれなかった。

顔の一部が変色した。

部屋の照明が赤系だったので写真だとわかりにくいが、外だとけっこう目立った。
痛みはない。

カザフスタンテンゲ。




朝、ウズベキスタン行きの列車に無事乗れた。
まだ暗いうちからたくさんの人が押し寄せ、極寒にもかかわらず熱気を感じた。

出国手続きも入国手続きも、ともに車内でおこなわれた。
列車での国境越えは初めてだ。
係員が車内を巡回して指示を出すので、適当に従えばいい。

出国は、スタンプが2つ押された入国カードを提出すれば問題ない。

入国は、キリル文字で書かれた入国カードに記入をする。
「地球の歩き方」に書き方が載っているので、これを参考にする。
周囲に通訳できる人は皆無なので、ウズベキスタンに行く人はこの「地球の歩き方」のコピーでも持って行かないと大変なことになると思う。
記入は英文字でも可。

この入国カードには、所持金を書く欄がある。
理由はよくわからないが、これは正確にきっちり書くべきらしい。

入国カードは同じものを2枚書き、1枚は提出し、1枚は自分用に返却される。
出国時に必要になるので、なくさないように保管しておく。

入国手続きがおこなわれている2時間ものあいだ、列車は停止していた。

ウズベキスタンに入ってからも、しばらく雪景色が続いた。

21時、それほど遠距離でもないはずなのにずいぶん時間がかかって、到着。
駅からヌクスという街までタクシーで行った。


Xiva, Uzbekistan

24763km



5 件のコメント:

  1. ウズベクに来ましたね。12月のカザフがそんなに寒いとは・・・。ウズベク物価が安いと言いましたが、バックパッカーが泊まる宿は安いものの、一般的な宿は高いかも。ロンリープラネットのようなガイドブックをお持ちでしたらよいのですが・・・。食事は安いですけどね。お気をつけて。

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    1. 僕が通ったルートは南部だったんですが、予想以上でした。
      北部は-30℃どかいっちゃうみたいですね。

      ロンプラも地球の歩き方も両方持っているので大丈夫です。
      ATMがなくて、今は現金の調達が問題です。

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  2. 厳しいなぁ・・・
    顔の変色はなんで?

    ここからどうするかだな・・・
    日本は明日クリスマスイブだよ。

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    1. 肌荒れだよ。
      -15℃で向かい風が顔を直撃し続けたら、そりゃおかしくもなるさ。

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  3. そうか・・・
    そういえば、メールチェックしてくれ。

    たいしたものではないが、クリスマスプレゼントを贈ります。

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