いよいよ峠越え、最大の山場。
ソアと一緒に向かう。
もちろん荷物最小限の彼の方が速いので、「僕のことは気にせず先に行ってくれ」と言ったのだが、一緒に行った方が心強いし安全、ということで。
気温は-5℃だが、冷たい風が吹き荒れ、体感温度はもっと低い。
昨日まで日中はTシャツ短パンだったが、さすがにもう厳しく、厚着した。
ペットボトルの水が凍らないように、時々シェイクする。
まあ、ふつうは水筒を持参するわな。
いや寒いのはいいが、この雪!
滑り落ちたら最期。
ゆっくりゆっくり、一歩一歩慎重に進む。
そして、写真では伝わらないが、えげつなくスティープな登りが続く。
僕はまた荷物をはずして、2回に分けて進む。
荷物を運び、戻って自転車を運び・・・これをえんえん繰り返す。
ソアには先に行ってもらった。
景色はすばらしいが、体力的にいっぱいいっぱいで、足場も悪かったため、この登りではあまり写真は撮れなかった。
長い長い登り。
峠までの距離はほんの数kmだが、僕は2倍の時間をかけている。
まだか、まだか・・・
と、ここでなんと、ソアが戻ってきた!
彼はとっくに峠に到着していたが、僕があまりに遅いので心配して(あるいは寒くてじっとしてられず)、戻ってきてくれたのだ。
ふつうに歩くだけでもハードなのに、なんてやつ!
最後はソアが荷物を持ってくれた。
この状況で「いや、自力でやりたいんだよ」と断ることなどできず、彼の好意に甘んじた。
ついに到達!
標高5416m、トロン・ラ!
気圧530hPa、気温0℃。
カルドゥン・ラ(標高5359m)の時と同じ。
カルドゥン・ラは出発地のレーが標高3500mだったので2日で到達できたが、今回は出発地のポカラが1000m以下の低地だったので、到達まで8日かかった。
さあ、あとは下るだけだ。
・・・いや、僕にはすでにわかっていた。
下りも、登りに劣らず苦戦を強いられるのだ。
この超スティープ+雪と氷と石では、とても乗っていられず、効きの悪いブレーキを力いっぱい握りながら、一歩一歩ゆっくりと下る。
もちろんディスクブレーキMTBのソアには先に行ってもらい、後から来たトレッカーたちも早々と僕を抜かしていった。
おそらくこの日のアタック隊では、僕が一番ビリだったと思う。
二度ほど、足を滑らせてコケて、危うく崖から落ちそうになった。
こういう時、反射的に自分の体よりも自転車を守ろうとしてしまう。
なんとしても自転車は落とすまい、と必死につかんで引き上げる。
トレッカーたちは全員、次の村まで行ったと思うが、僕は中腹に現れた質素な宿で力尽きて1泊。
客は僕ひとり、あと宿のおばさんひとりだけ。
ここは電気もなく、明るいうちに夕食をつくってもらい、暗くなったらベッドに寝転がるだけ。
完璧な静寂。
妙な満足感。
Pokhara, Nepal
2013年11月24日日曜日
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強い精神力とたくましい体力の賜ですね。
返信削除突き抜けるような青空が登頂を祝福しているようです。
浅地さんとソアさんの他に自転車で登頂目指した人はいましたか?
ありがとうございます。
削除と言ってもやはり峠周辺はほとんど乗れなかったので、「なんでチャリ?」という周囲からの視線も痛かったです。
それでも自分としては満足しています。
この日自転車で登頂したのは僕とソアだけでしたが、道中、数人の自転車とすれ違いましたよ。
よく登頂できたものだよ・・・・
返信削除素晴らしい。
このフレームの丈夫さも貢献しているだろうけど、
一番はryoの精神力。
アンナプルナ自体は、別名「キラーマウンテン」って言うらしいぞ
フレームの頑丈さ、ホイールの頑丈さ。
削除この自転車はツーリング用であって、ヒルには向いてないけど、本当によく壊れずもってくれている。
体も休めたので今日は自転車のクリーニングと総チェックをするよ。
キラーマウンテンと呼ばれているのはアンナプルナⅠ峰だな。
Ⅰ~Ⅳ峰まであって、どれがどれだか、よくわからなかったよ。