2014年10月25日土曜日

冷たい南風

再び針葉樹林。


豊かな緑、乾いた道路。
暖かくなったように見えるが、実は気温はぐっと下がってきている。



ここからまた少し登る。
登ると言ってもたかだか標高300~400mだが、わずかな上昇でも劇的に冷え込むから恐ろしい。





向かい風。
顔が痛い。
北上中は風に助けられたが、これからはその風が障害となる。





この日はずっと快晴だったが、それでも日中-6~-8℃。
すでに最大レベルの厚着をしていて、これ以上着るものはない。
走行中はともかく、夜が不安だ。
ノールカップ周辺の寒さはまだかわいいもんだった。



水が凍ってしまわないよう、30分に1回ぐらいシェイクしてやるのだが、やがてそれもむなしく。


当然といえば当然のことだが、ペットボトルはバッグの中に入れておくべきだ。
どのバッグも一杯なので無理だと思っていたが、そうも言ってられなくなった。
一番凍らせてはいけないものを外にさらしておくのはあまりに愚かだ。

これでは野宿するにしても、調理も何もできない。
しばらく無人地帯が続いたが、村が現れたので駆け込み、小さなスーパーに行ってみた。
こんなにも厳しい環境で、人気のない村のスーパー、開いてるのかどうかも怪しかったが、幸い営業していた。
店長らしきおじさんに事情を説明して、お湯をいただけないかとお願いしたら、快く承諾してくれた。
「少し暖まっていきなさい」と、店の奥で休ませてくれた。
やさしいな。

この様子を見ていたお客さんのおばさんが、「ウチに泊まっていきなさいよ」と声をかけてくれた。
ああ、なんてありがたい。

ここはサーミ人の村のようだ。
サーミ人は北極圏先住民で、ノルウェー、フィンランド、スウェーデン、ロシアにまたがって分布している。
人種としてはコーカソイドだが、独自の文化と言語を持つ。
ここではほとんどのサーミ人が、サーミ語、ノルウェー語、英語の3言語を話せるという。

おばさんは、サーミの文化や歴史について長々と語ってくれた。
非常に強い民族意識が感じられた。
過去には、ノルウェー政府との衝突や大きなデモもあったらしい。
サーミ人は、今なおノルウェー人に対して心中穏やかでないようだ。

世界各地で見られる「先住者 vs 征服者」の確執、こんな北の果てにまである。


(注) おばさんがかぶっている帽子は中国旅行のおみやげだそうで、サーミの伝統工芸ではありません。

そして、宿泊施設等でもそうだが、民家もやはりセントラルヒーティングで、屋内は常時均等に暖かい。
どこの部屋にいても、起きている時も眠っている時も、寒さを感じることはまったくない、快適空間。
日本はなぜこのすぐれた暖房システムを導入しないのだろうか。



向かい風はさらに強くなっていく。
そしてアップダウン。
下りでも必死でこがないと進まないので、一日中登り続けているような感覚。



サーミ人はトナカイを食べる。





以前見た野生のトナカイは、ここまで立派な角ではなかった。



向かい風はさらに猛威をふるい、容赦なく真正面から吹きつけてくる。



1時間に7~8kmペース。

鼻歌まじりで調子良く北上していたあの頃がなつかしい。
いやたしかに北上中は追い風にお世話になったが、ここまで強烈なのはもらわなかった。
北上はすんなり行ったが、南下はなかなか進ませてくれない。

気象図を調べてみたら、どうも北欧は全域、南風が優勢のようだ。
これはもう観念するしかない。
せめて標高が下がれば、気温が上がり、背の高い樹木が風を防いでくれるのだが。

ノルウェークローネ。


穴の開いたコインは、日本円以外では初めて見るかな。




Enontekio, Finland

20704km