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ドイツから北に突き出たユトランド半島と443の島からなる。ユトランド半島とスカンジナビア半島の間のシェラン島に首都のコペンハーゲンがあり、橋で結ばれている。「パンケーキのよう」と形容されるほど平坦な土地で、最高標高は173m。国土は小さい(九州ほど)が、世界最大の島、グリーンランド(日本の5.7倍)を領有している。409年にローマ帝国がブリタニア(イギリス)を放棄した後、現在のデンマークにいたアングロ人、サクソン人、ジュート人の3種のゲルマン系がブリタニアに渡り、先住のケルト人の文化を駆逐してイングランドの文化を築いた。かれらの話す言葉が英語の基礎となった。デーン人と呼ばれるデンマークのヴァイキングは、8~11世紀にイングランドをはじめ各地を侵攻し、11世紀の北海帝国時代にはスウェーデンとノルウェー、そしてイングランドをも支配する大国となった。その後は、ドイツ三十年戦争、大北方戦争、ナポレオン戦争などでいずれも敗れ、小国へと没落した。二度の世界大戦と冷戦においては、中立を貫いた。デンマークの福祉、教育、経済、平等、汚職の少なさなどの水準は、北欧三国と同様に世界トップクラス。今年7月発表のアメリカの世論調査機関による「幸福度ランキング」では、1位 デンマーク2位 フィンランド3位 ノルウェー4位 スウェーデン
という、見事なまでの北欧の独占。ちなみに日本は81位、中国は125位、アメリカは14位。賃金の高さも世界1位(日本は6位)、所得格差の少なさも世界1位(日本は2位)、消費税の高さも世界1位(スウェーデンとノルウェーも同じ25%、日本は消費税実施国で最下位)、物価の高さではコペンハーゲンが世界4位。報道の自由度も世界1位(北欧三国とアイルランドも同じく1位、日本は17位)。2005年にデンマークの日刊紙にムハンマドの風刺漫画が掲載され、大問題になった。玩具メーカーのレゴ(デンマーク語で「よく遊べ」を意味するleg godtが由来)、高級オーディオメーカーのバング&オルフセン、陶磁器のロイヤルコペンハーゲンなどが有名。英語で「デンマーク人」はDane、「デンマークの、デンマーク人の、デンマーク語」はDanish。日本でいう「デニッシュ」は、「デンマークのパン」という意味。
95%がデンマーク人(ゲルマン系)。公用語はデンマーク語。88%がプロテスタントの福音ルーテル派。デンマーク出身の有名人は、ハンス・クリスチャン・アンデルセン(童話作家)、セーレン・キェルケゴール(哲学者)、ニールス・ボーア(物理学者)。
ノルウェーと同じくヴァイキングから発展して王国を形成し、17世紀のスウェーデン・バルト帝国時代には現在のフィンランドとノルウェーの一部を含む北欧の大国となり、アメリカにも植民地を築いた。ロシアとの大北方戦争やナポレオン戦争で敗れて領土の一部を失い、19世紀には小国化したものの、他国から完全に支配されたことはない。二度の世界大戦では中立の立場をとり、冷戦においてもアメリカ寄りの微妙な中立主義を見せた。1995年EU加盟。ダイナマイトを発明したアルフレッド・ノーベルの莫大な遺産から生まれたノーベル賞は、1901年から授賞が始まり、年一回首都のストックホルムで授与式が行われる。世界一臭い食べ物として知られるシュールストレミング(ニシンの塩漬けを発酵させた缶詰)がある。その臭気指数は8070Au。2位の韓国のホンオフェ(6230Au)、3位のニュージーランドのエピキュアーチーズ(1870Au)と比べても、シュールストレミングは群を抜いた臭さだ。世界に店舗展開する家具店、IKEAもスウェーデン発祥。
90%がスウェーデン人(ゲルマン系)。少数のサーミ人。公用語がスウェーデン語。80%がプロテスタントの福音ルーテル教会。
スカンジナビア半島の西側に細長くのびる極北の国。僕は南アフリカから出発し、とりあえずヨーロッパ最北端として知られるノールカップ岬を目指すことになるが、厳密にはノールカップは最北端ではないらしい。ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシアにまたがる、スカンジナビア北部の地方はラップランドと呼ばれ、少数民族サーミ人がトナカイとともに生活し、半国家をなしている。西岸は全域がフィヨルドで、氷河の浸食によって複雑に入り組んだ地形がえんえんと続く。「入江、湾、フィヨルド」を意味する「vik」から、「ヴァイキング」(フィヨルドから来た者)という言葉が生まれた。通説では「ヴァイキング」=「海賊」というイメージだが、実際にはスカンジナビアに住む人全体を指し、手工業に秀でた漁民、農民であったという。日本でバイキングといえば食べ放題だが、これはノルウェーの一般的なパーティのスタイルを真似たもの。9~11世紀にはヴァイキング時代として栄えたが、14世紀にはデンマークに併合され、19世紀にはスウェーデンに併合された。独立は1905年。EU加盟は国民投票によって否決され、現在も非加盟国。北海油田の豊富な石油資源により、ノルウェーは世界有数の原油輸出国。漁業、林業、鉱業、IT産業もさかんで、国民一人当たりのGDPは世界2位(1位はルクセンブルク、日本は17位)。首都のオスロは、物価の高さで世界3位(1位は東京、2位はロンドン)。就学率、識字率、平均寿命なども高く、生活の質や発展を示す人間開発指数(HDI)は世界1位(日本は10位)。男女平等の国であり、女性の社会進出度を示すGEMは世界1位(4位まですべて北欧、日本は57位)。国民がEU加盟を望まないのは、自国の産業だけで豊かな経済が維持でき、福祉国家としての高度なシステムも確立されているので加盟する必要がないし、加盟すればスペイン、ポルトガル、ギリシャ、アイルランドなどのEU貧乏国の面倒も見なければならない。人口たった485万人の国で人材的、経済的な流動が起きたら、脅威となるであろう。92%がノルウェー人(ゲルマン系)。サーミ人は2万人ほど。公用語はノルウェー語。アイスランド語に近いらしい。サーミ人はサーミ語。84%がプロテスタントの福音ルーテル派。ノルウェー出身の有名人は、ヘンリック・イプセン(劇作家)、エドヴァルド・グリーグ(作曲家)、エドヴァルド・ムンク(画家)。
古代からフィン人が定住していたことからフィンランドと呼ばれるが、かれらは自分たちをスオミと呼ぶ。人口が少なく、部族のまとまりも強くなかったため、長らくスウェーデン人によって支配され続けた。18世紀からはロシアに支配されたが、1917年に独立。戦後はソ連の勢力下に置かれたが、資本主義体制を維持した。ソ連に頭を下げながらも、西側諸国に傾きすぎないような、微妙な外交で冷戦をやりすごし、ソ連崩壊後は西側について、1994年にEUに加盟した。国土の73%が森林で、先進国では最も高い森林率(日本はそれに次ぐ68%)。主に針葉樹林。国土の10%が湖で、その数は18万におよぶ。「湖」を意味する「スオ」が「スオミ」の語源といわれている。針葉樹林と無数の湖、そしてカリブー(トナカイ)など、自然環境はアラスカやカナダととても似ていると思われる。従来は林業と農業中心の経済であったが、1980年代以降はノキアやLinuxに代表されるIT、ハイテク産業へと変化し、ヨーロッパでも有数の経済大国となり、生活水準は非常に高い。2001~2004年は国際経済競争力が世界1位だった。
フィン人93%、スウェーデン人6%、サーミ人0.1%、ロマ人0.1%。公用語はフィンランド語。ローマ字を使うがヨーロッパ語族ではなくウラル語族(エストニア語、ハンガリー語など)であり、他の北欧の言語とは大きく異なる。オーランド諸島はスウェーデン語。サーミ語は準公用語。プロテスタント89%。
北欧はなにかと優等生なイメージがある。8月26日のニュースによると、アメリカのNewsweekが、世界100ヶ国の生活、健康、教育、経済などに対する幸福度を総合的に評価して格付けする「ベスト国家ランキング」を発表した。1位 フィンランド2位 スイス3位 スウェーデン4位 オーストラリア5位 ルクセンブルク6位 ノルウェー7位 カナダ8位 オランダ9位 日本10位 デンマークもちろん、こういったランキングは基準が曖昧だし、さまざまなバイアスがかかっているだろうから真に受けるべきではないが、北欧三国+デンマークがもれなくランクインしているのはそれなりの理由があると思われる。それにしても、寒そうな国ばかりで熱帯の国が見当たらないのはなぜだろう?南半球はオーストラリアのみ。日本がランクインしているのを意外に思う人は多いだろう。ちなみにアメリカは11位。中国は59位。フィンランドの教育水準は世界一といわれ、「教育先進国」として注目されている。授業時間は日本より少なく、塾も予備校もなく、受験戦争もさほど厳しくはないという。にもかかわらず、国際学力テストのPISAで、フィンランドは毎回総合で世界1位の成績をおさめている。主な特徴は、・カリキュラムや教科書検定などは国が細かくコントロールするのではなく、現場の教師に任せていること。・現場の教師が有能なプロであること。・生徒に競争させるのではなく達成を目標とすること。・落ちこぼれを出さないこと。少人数制で補習を充実。「教育という名のボートに乗った子は一人たりとも落とさない。」・日本は教育費の私的負担が非常に高いが、フィンランドは教育費の97%が公的負担でまかなわれる。フィンランドに限らず、北欧諸国は「平等」の意識が高く、誰もが平等に公正なサービスを受けられる制度が整っており、福祉国家として名高い。女性の社会進出度、報道の自由度、汚職の少なさなどでも、北欧諸国が世界の上位を占めている。現在のフィンランドは大統領も首相も女性である。単に優秀というだけでなく、システムに理念を感じさせるところを、日本も学ぶべきだ。
その他、フィンランドは、・図書館利用率世界1位。・環境持続可能性指数世界1位。・1人あたりのコーヒー消費量世界1位。・1人あたりの牛乳消費量世界1位。・サウナ普及度世界1位。(「サウナ」はフィンランド語)奇妙な大会が多いことでも有名。・エア・ギター世界選手権・サウナ世界選手権(先月死亡者が出た)・携帯電話投げ世界選手権(携帯電話のシェア世界1位のノキアはフィンランドのメーカー)・国際雪合戦・奥様運び大会