2014年12月9日火曜日

ドライビング・アイスランド 2

まだまだドライブは続く、はずだった。
デティフォスから折り返して、いくつかの見どころを巡りながらレイキャビクへ戻る、はずだった。

北西部にある魔術博物館とやらへ行く、ということで、メインロードからはずれてしばらくローカルロードを進む。

不安要素はたっぷりあった。
日照時間が非常に短いので、時間をフルに活かして移動するには、夜間走行も必要。
しかし、ローカルロードは道幅がさらに狭く、雪が深く、カーブやアップダウンも多い。
もちろん街灯などない。
さらに、なぜか突然ハイビームがつかなくなり、ノーマルなヘッドライトでの闇夜の走行となった。
ヒロ君はそれほど気にしていないようで、けっこうなスピードを出す。

ふいに、道路中央に標識が現れた。
その標識の柱をよけきれず、ミラーをぶつけて破損した。

この状況でこれ以上進み続けるのは危険と判断して、この日はこれでストップ。
教会の敷地で車中泊。

僕は引き返すのが妥当だと思った。
ドライブに関しては僕も不慣れだが、道というものは、今まで大丈夫だったからといってこの先も順調に行くとは限らない、むしろ悪路は奥地へ進むほど悪化する、ということを僕は経験上よく知っている。
ヒロ君の意志を聞いてみたら、たいして気にしていないようで、あくまで魔術博物館とやらへ行くと言う。
今置かれている状況の危険度を、当のヒロ君がまったく自覚していないことが最大の不安であった。

翌朝。
夜間走行はもうやめようと決めた。
しかし、明るくなるのが10時、目が覚めたのが6時。
あまりに時間を持て余してどうしようもなく、ゆっくり慎重に進むことを条件に、出発することにした。

最初は注意喚起していたが、次第にまたヒロ君はスピードを上げ始めた。
そして、二度目の事故が起きてしまった。

カーブを曲がりきれず、路肩の下に転落。

はぁ・・・
ため息。

4WDでもないスタッドレスタイヤでもないこの最弱の車が、除雪されていない深い雪から自力で路上に這い上がるのは絶望的であった。
それでも何とかあがいてみたが、タイヤが空回りしすぎて焦げ始め、断念。

通りすがりの車に助けを求め、電話でレスキューを呼んでもらった。
気温、-7℃。
エンジンをつけて暖房が効いた車内で待機できただけでも、まだ幸いだった。

30分ほどで、レスキューが到着。
近くに街などない、こんな辺鄙なところに、短時間でよく来てくれた。
チェーンで牽引してもらって、無事路上に復帰。
料金はその場でキャッシュで2万クローナ(1万9300円)。

さすがに、これ以上の続行はあきらめてもらい、メインロードに戻ってダイレクトにレイキャビクに帰還することにした。
4泊5日の予定だったが、短縮して3泊4日で終了。

自転車旅行が不可能なこのシーズンで、雪と氷の世界、美しい滝、壮大なアイスランドを堪能できて、そしてヒロ君と楽しい話もできて、僕は満足している。

ミラーの修理代で3万5000クローナ(3万3776円)請求されたそうだ。


Reykjavik, Iceland



4 件のコメント:

  1. 大事故でなくて不幸中の幸いでしたね。俺も雪国育ちで冬の車走行にはなれてるほうですが今でもめちゃ怖いですよ。ハンドル操作、ブレーキとも夏と比べると全然きかないですから。今回悪運を使ったということで次からは幸運が訪れますように。長旅お気をつけて。

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    1. 雪道走行に慣れている人とそうでない人とでは、雲泥の差があると思います。
      身の丈に合ったドライブをするべきですね。
      自転車走行中も、自分がギリギリ生かされているということを改めて反省いたします。

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  2. 怪我がなくてよかったね。
    この路面状態でFF車+ノーマルタイヤだったとは驚き。

    雪道の運転は慣れていても危ない・・・

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    1. それでもなお続行してたら、取り返しのつかない事故を起こしていたと思う。
      運転の不慣れももちろんだけど、最安の車にはそれなりの理由がある。
      リスク高いよ。
      鉄道が存在しない完全車社会だけあって、地元の人は上手。

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