2014年11月6日木曜日

ボスニア湾西岸 1

スウェーデン入国。


街はショッピングモールが軒を連ね、閑散としたフィンランドの街と比べるとずっと栄えている感じがする。

ヨーロッパでセブンイレブンを見るのは初めてだ。


スウェーデンについて。
ノルウェーと同じくヴァイキングから発展して王国を形成し、17世紀のスウェーデン・バルト帝国時代には現在のフィンランドとノルウェーの一部を含む北欧の大国となり、アメリカにも植民地を築いた。
ロシアとの大北方戦争やナポレオン戦争で敗れて領土の一部を失い、19世紀には小国化した。
二度の世界大戦では中立の立場をとり、冷戦においてもアメリカ寄りの微妙な中立主義を見せた。
1995年EU加盟。
女性の社会進出度を示すGEMは世界1位(4位まで北欧4ヶ国が独占)。

スウェーデン人85%。
フィンランド人5%。

公用語はスウェーデン語。
ノルウェー語とはある程度意志の疎通ができるという。

ボスニア湾。


春が来たので、再びノーマルタイヤに履き替えた。
雪も氷もない舗装道路でスタッドタイヤは重たくて仕方ない。

春が来た、と思っていたらさっそく冷え込んだ。
晴れているが、夕方には氷点下になり、夜は-5℃ぐらいだろうか。
フィンランドの雨で濡れたテントのフライシートは乾かないまま凍ってしまって、バリバリだ。

スウェーデンの道路づくりはひどい。


白線上にガタガタが掘られ(このガタガタはフィンランドの一部にもあったけど)、センターライン上には柵がつくられている。
なぜわざわざこんな障害を設けるのか、危なくて安心して走れない。
ふつうに走れる路肩をください。

あと、道路と森の境界にはネットが張られているが、これはトナカイの道路横断防止だろうか。
このネットがあるせいで、野宿したい時にすみやかに森に侵入できない。

この時期、多くのキャンプ場は閉まっているが、ルーレオという大きな街のキャンプ場は開いていた。
たまには連泊して、ゆっくり休みたい。
と思っていたのだが、なんと210クローナ(3189円)!
シャワーは4分5クローナ(75円)!
Wi-Fiも有料だと言われたが、「いや、いいです。」と言って料金は聞かなった。

もうやだ、こんなキャンプ場。
もちろん連泊する気は失せた。
早くもフィンランドに戻りたくなってしまった。



冷え込んだので、当然のごとくキッチンで寝た。



気温は上がったり下がったり。
日中晴れると冷え込んだり、夜に雪が降ると暖かくなったり。
スカンジナビアの天気は実に奇妙だ。
幸い、風はおさまってくれたので、道は走りにくいけどペースは悪くない。

テントの浸水が深刻になってきた。
弱い雨でもテント内に水たまりができてしまい、まともに寝られない。
今さら買い替えるのもなんだし、物価も高いし、雨が降らないよう祈るしかない。

自転車を掃除すると、雨が降る。
タイヤをノーマルに履き替えると、雪が降る。

そういうものです。

驚くべきことに、スウェーデンに入ってから、1日に数回、クラクションを鳴らされるようになった。
しかも、明らかに僕に対して鳴らしている(後進国では誰に対して鳴らしているのかさえわからない)。
先進国の中でも特に優秀と思われていた北欧でクラクションが鳴るとは、あまりに意外だ。
もちろん世界標準で見ればドライブマナーは超優秀だし、1日数回程度のクラクションならインドなんかと比べたらゼロに等しい。
でも個人的に、これは相当な減点ポイントだ。
とっとと出国したくなった。

シェルレフテオ。




北欧の中でも特に移民問題が深刻になっているというスウェーデン。
ここは都市と言えるほど大きな街ではないが、黒人をはじめとしてさまざまな人種が混在している。
物乞いもめずらしくない。

スーパーの出入口には、「160 - 170 -180」と身長の目印が貼られている。
今までの国にはこんなのはなかった。
ひそかに治安の悪さが物語られている。









テントがいよいよヤバイ。
グランドシートも劣化してきているようで、雨が降らなくても下の草地が濡れていると、ジワジワと水がしみ出てくる。
物価の安い国だったら、ホテルに泊まればいいじゃん、で済むのだが、北欧ではホテルに1泊でもしようものなら財政が大きく傾く。
予報を見た感じ、この先も雨天または雪の日が多そうだ。
もう、テントを買わざるをえないか。

靴の浸水もひどい。
たしかに防水の靴を買ったはずなのだが、雨天走行するとあっという間にジャポジャポになる。
でもこれは我慢しよう。

雪の日の走行中。
パトカーが止まって声をかけられた。
特に違法なことはしてないはず。

「なんか問題ある?」
と少々怪訝に聞いたら、

「ノー。この大雪の中サイクリングしている人がいる、って君の安否を心配して一般通行車から通報が入ったんだよ。大丈夫か? 助けは必要ないか? 今日は泊まるところあるか?」

あああ・・・
可能な限り誰にも迷惑かけずに旅をしているつもりだけど、こんな風に無関係な人にも心配かけてしまってるんだな。
かたじけない。
そして、紳士的に声をかけてくれた警官に対しても、横柄な対応をしてしまった。
せめて日本人として恥にならぬよう、頭を下げて警官にお礼を言った。

なにかと困難が多く、人と接することも少ない北欧。
でも、こんな風に声をかけてもらえるだけで、僕はいくらでもがんばれる。
ありがとう。

雪でズブ濡れになりながら、ウメオーという街に到着。
ユースホステルに宿泊。
ドミトリー170クローナ(2582円)。
あらゆるものが異常に高い北欧(その割にはサービスやクオリティはそんな大したことない)では破格の安さだ。
連泊決定。



ここは朝食は別料金だが、ランドリーは無料。
ここぞとばかりにまとめて洗濯。

全般的にユーロピアンは労働熱心とは思えないが、ここのホステルはレセプションが開いてるのは15~17時のわずか2時間。
この時間を狙ってたどり着かないと、チェックインできない。

宿泊施設によっては、特にキャンプ場なんかは、日曜日はまったく開いていないところも多いようだ。
北欧はスーパーが日曜日も営業しているという点は感心するが、日曜日に宿泊できないというのはひどい話だ。
レセプションの窓口に電話番号が貼られているだけのところがあるが、電話を持っていない僕としてはどうしょうもない。
その代わり、と言うべきだろうか、仕事熱心でないおかけで、キャンプ場のキッチンで寝ていても、夜中にスタッフが点検に来て怒られる、ということもまずない。

今日は一日ゆっくり休んだ。

INTERSPORT(ヨーロッパならたいていどこにでもあるスポーツ用品店)に行ってテントを買った。
シーズンオフのおかげか、4割引で299クローナ(4541円)。
今まで使っていたのとほぼ同じサイズのドームテントで、床面積200×150cm。

旅の終盤でテントを買い替えるというのはなんとももったいないが、テントが水漏れするからといってホテルに泊まったりしたらもっともったいない。
キャンプ場に併設されているコテージが値切って5000円前後、ふつうのホテルならおそらく軽く1万円はする北欧で、マイホームがこの値段で買えるなら格安だ。
耐水性、耐久性は使ってみないとわからない。
もうウェットなキャンプは勘弁だ。

午後はホステルで、YouTubeでたまたまクリックした日本の映画に引き込まれ、最後まで見てしまった。
もともと僕はまったく映画を見ないのだが、今は日本の映画というだけで、しみじみと見てしまう。

日没は早く、16時には夜になる。
たまの休日。 
あっという間に一日が終わる。


Umea, Sweden

21482km



2 件のコメント:

  1. 旅はもう終盤なんですか?
    写真拝見する限り本当に人少ないですね。と言うかいない。

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    1. 以前も書きましたが、もう預金の底が見えてきているので、いろいろ考えなきゃならん時期です。
      新しいテントを買う時期ではありません。
      でもやむをえない状況でした。

      だいぶ南下してきたせいもあってか、走行中も家屋が途切れることが少なく、数十kmおきに街が現れ、街にはちゃんと店があり、人も増えてきましたよ。

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