2011年4月12日火曜日

出発前にこんな本

『世界130カ国自転車旅行』の表紙画像

僕にとって自転車旅行は、自分の中で自然発生したものであって、他の誰かから影響されて始めたものではない。
だから、自分の感性だけを頼りに、行き先やスタイルを決めていけばいい。
ヘタに他の旅行者の話を聞いて影響を受けたりすると、旅が純粋なものでなくなる。

と、以前は思っていた。

でも、前回の世界旅行で、実に多様な旅人と出会い、少なからず影響を受けた。
かれらから学んだことも多い。

帰国後は、紀行本を読むようにもなった。
今や旅ブログは星の数ほどあるが、やはり本の方が重みがあっていい。

中西大輔氏のこの著書は、その中でも群を抜いて感銘を受けた。
自転車で11年、15万km、130ヶ国、という驚異的な記録。
スポンサーがついていたわけでもなく、途中で仕事して資金を足したわけでもない。
貯金だけで11年。
年間たった60万円ペース、という信じがたい節制旅行。

これほどの偉業を成し遂げながら、語り口調は実に謙虚で誠実だ。
自己顕示欲旺盛な旅人にありがちな、「オレはこんなすげえ旅をしてきたんだぜ」的な誇示は一切無く、植村直己の本を読んだ時と似た好印象を受けた。
本当に純粋に自転車旅行を愛し、その気持ちひとつでこんなにも続けることができたのだろう。

有用な情報も多い。
警察署や消防署に行けばタダで泊めてくれる、意外にハイエナが怖い、ATMに細工がしてあって現金を引き出されてしまう手口、などなど。

「他の旅行者には影響を受けずに自分の旅を」、なんて言っておいて、影響受けまくってしまっている。
年間60万は僕には到底無理だが、今は中西氏に対する尊敬と憧れの気持ちに包まれている。

↓今まで読んだ主な紀行、エッセイ、冒険の本。






『青春を山に賭けて〈新装版〉』の表紙画像

『極北に駆ける〈新装版〉』の表紙画像

この辺は王道で、自転車旅行者の大半はすでに読んでいるだろう。
植村直己は冒険家だが、彼の冒険は旅でもあり、その精神は旅人の心も強く打つ。
自転車旅行も冒険もやらないという方も、ぜひ読んでみてください。

ちなみに中西氏が旅の途中で出会ったドイツ人は、1962年から自転車で旅を始め、現在も続けているという。
出発したのが20歳の時で、現在70歳。
すでに世界195ヶ国すべて走ったそうだ。
最長旅行者としてギネスに認定されている。
上には上がいるものだ。



2 件のコメント:

  1. 植村さんはやはり気になるよな。
    マッキンリーで遭難したままの報道が未だに記憶にある。
    警察署と消防署が無料で泊めてくれるとはいい情報じゃ
    ないか?

    これは帰国したら本を出版するしかないな?

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  2. 山登りはあまり興味ないが、植村直己の生き様には心を打たれた。
    遺体はいまだ発見されず、犬ぞりによる南極横断の野望もいまだ誰も成し遂げられず。
    でも、彼が後世に伝えたものははかりしれない。
    自分の旅はいまだ自己満足、自己完結型にすぎないが、人に何かを伝えられたら本望だと思う。

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